こんにちは。長く大変な雨の時期も過ぎ、すっかり猛暑ですね。
5月から始めたこのコーナーも、やっと折り返し地点…のはずです😅
今回紹介する工程は「鍵盤ならし」です。
鍵盤をならす…なんとなく想像つく方もいらっしゃるかも知れません。
鍵盤ならしは「鍵盤の高さを揃える」ための工程です。
ピアノの鍵盤は白鍵が52本、黒鍵が36本あります。
全部の鍵盤の高さがバラバラだとすごーく弾きにくそうではないですか?(実際めちゃくちゃ弾きにくいです)
ピアノの鍵盤の高さって当たり前に揃っているもののように見えますが、これが揃っているのは、丁寧なメンテナンスがあってこそです!
鍵盤ならしは、白鍵を揃えてから黒鍵を揃えます。今回は白鍵ならしの作業風景を見ていただきます。
機種にもよりますが、白鍵の高さは棚板から白鍵上面まで64mm、黒鍵の高さは白鍵上面から黒鍵上面まで12mmです。
棚板(鍵盤下の土台部分)から白鍵上面までの高さをスケールで測ります。およそ63.5mm。このあとの調整のことを考えて、少し高くします。
どうやって高さを変えるかというと…鍵盤を外すと、バランスキーピン(上画像中央のピン)についているバランスパンチングクロス(赤いクロス)の下に、バランスペーパーパンチングという紙が入っています。
この紙を出し入れすることによって調整することができます。
なにかの呪文みたいでしたが、みなさま大丈夫でしょうか(私も調律学校時代、最初にパーツの名前を覚えるのに苦労しました…)
※画像は「バランスパンチングペーパー」と書いてしまいましたが、どっちでも通じます。なんなら現場では「ペーパー」とか「紙」って呼んでるくらいです。
ペーパーを入れて64mmにしました。この基準を白鍵の中に数か所作り、それに合わせてすべての白鍵の高さを揃えます。
ならし定規という専用の定規を当てて、鍵盤の高さを見ます。少し見づらいかもしれませんが、定規と鍵盤の間にわずかに隙間があるのがわかりますか?
作った基準の高さより全体的に少し低いので、ペーパーを入れて揃えていきます。
鍵盤ならしに使うペーパーは、メーカー純正品で4種類あります。直径1cmほどの大きさで、厚さで色分けされています。
だいたいペーパー1枚で鍵盤の高さはその倍変わります。例えば青いペーパーを1枚入れると、鍵盤の高さは単純計算で0.16mm高くなります。
もちろんそれ以外の要因もあり、実際の高さの変化のしかたは多少異なります。
何色を何枚入れるかは完全に技術者の経験とカンです 笑
白鍵の高さが揃ったら、黒鍵の基準を作り、白鍵と同じ要領で揃えます。
黒鍵の高さは「白鍵上面から黒鍵上面までの高さ」が基準になるので、白鍵が揃っていない状態では正しく調整することができません。
こうして鍵盤の高さが揃ったら、もうひとつ鍵盤で大事な調整をしなければなりません。さて何でしょう?次回ご紹介します☆