アップライトピアノの整調②

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初回が前置きだけで終わってしまったアップライトピアノ整調解説、今回からが本番です!

 

これからの解説は、以下の点をご理解いただいた上でお読みくださいね!

・アップライトピアノの一部工程のみ掲載します

・調整基準はメーカー・機種ごとに異なります

・調整方法は技術者によって違いがありますので、ここで掲載したやり方以外が間違っている、というわけではありません

・実際の整調の手順とは前後して紹介する場合があります

ではさっそく始めます♬

 

1.ネジ締め

 

ピアノならではの特殊な作業工程を期待していらっしゃった皆様、申し訳ございません

最初に解説するのは「ネジ締め」です。

その名の通り、ネジを締めるだけの工程です。

……ちゃんと説明いたしますのでよろしくお願いいたします。

 

前回の前置きで、一台のピアノには8000~10000個の部品が、一つの音を出すには100個近い部品が使われているとお話ししました。

まずアップライトピアノの外装を外してから、アクションを外してみます。

前回載せた「アップライトピアノを横から見た図」の鍵盤より上の部分です。

調整のために、まとめて取り外しができるようになっています。

実はピアノの外装もアクションもわりと簡単に外せるのですが、楽器を傷つけてしまう危険がありますので、なにかあれば技術者にお任せください😉

 

このアクションに近づいてよく見てみると、ネジがたくさんついているのがわかります。

木製の部品を取り付けるために、大小さまざまなネジがついていますね。

 

ここで簡単に、ピアノのアクションの仕組みについてご説明します。

ピアノは「鍵盤を押せば音が鳴る」という、演奏する立場からすればとってもシンプルな楽器です。

そのシンプルさと裏腹に、内部の構造はめちゃくちゃ複雑です。

鍵盤を押すと、その力がアクションに伝わり、ハンマー(赤い〇で囲った部品)の動きに変わります。そのハンマーが弦を叩くことによって音が出ます。

それぞれの部品にどんな役割があって、どんな動きをするかを文章で伝えるには限界があるので割愛しますが、演奏者が音の長さや音量、音を出すタイミングを自由にコントロールするためには、これだけの量の部品が必要になってくるのです。

とにかくめっちゃ複雑!ってことだけ覚えてもらえればオッケーです👌

 

これだけたくさんの部品があって、それが鍵盤88本分あるわけなので、それらを取り付けるためのネジもたくさん必要です。

そして…アクション部品はほとんどが木製ですので、温湿度の影響で膨張・収縮します。また鍵盤を弾いた時の衝撃も加わりますので、ネジは少しづつ緩んでいくのです。

アクションのネジが緩んでグラグラになると…それぞれの部品にうまく力が伝わらず、音が出ない・音が止まらない・連打ができないなどといった症状を引き起こしますし、各パーツの劣化を早めてしまいます。

そうならないように、定期的にネジを点検して、増し締めする必要があるんです!

単純だけどとても大事な工程であるということがわかっていただけましたでしょうか?

 

各種ドライバーを使って、パーツの状態をチェックしながらネジを締めていきます。

ここで確認するネジの数はおおよそ330個ほどです。

アクションのネジは柄の長いドライバーでないと届きにくいところにあるものが多いので、30センチほどのマイナスドライバーが大活躍します!

…そういえば、マイナスドライバーは正当な理由なく所持していると、指定侵入工具とみなされて逮捕されることがあるらしいです💦

まあ調律師は正当な理由で所持してますので、大丈夫ですね 笑

 

今回はこのあたりで。次回もお楽しみに~!👋