アップライトピアノの整調⑨

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お久しぶりの更新になりました💦

時々お客さまより「ブログみました」とお声かけいただきます。ありがとうございます!

のんびり更新ですが、あともう少しお付き合いください。

 

今回は「ハンマーストップ」という工程を紹介します。

ハンマーは弦を叩くと、跳ね返って手前側に戻ってきます。

鍵盤を下へ押し切ると、バックチェックという部品が、ハンマーのおしりについているキャッチャーをくわえることでハンマーを受け止めます。

実際にバックチェックがキャッチャーを受け止めている状態が上の画像です。

この状態のときの弦とハンマー先端との隙間が13~15mmになるよう調整します。(音域によって異なります)

 

打弦したあとのハンマーをなぜわざわざ受け止める必要があるのか?完全に元の位置まで戻ってしまえばいいのでは?と思う方もいるかもしれません。

しかし、楽器の構造上、音を出すたびに元の位置(ハンマー先端と弦の距離=46mm)まで戻ってしまうと、連打がまともにできない状態になってしまうのです。

ハンマーが完全に元の位置に戻る前にバックチェックで受け止めてあげることで、脱進したジャック(前回の記事をご覧ください)がスムーズに元の位置に戻り、すぐに次の打弦に備えることができます。

アップライトピアノは1秒間で7~8回の連打が可能ですが、それだけの連打性能を出すためにはバックチェックとキャッチャーの存在が欠かせません。

鍵盤5本ほどを同時に、中程度(mfくらいの音量でと習った記憶がありますが、曲によって違いますよね…)で打鍵します。

すべて同じ力で打鍵しないと、いつまで経っても揃いません。コツを掴むまではとにかく練習あるのみ!な作業です。

作業中はひたすら不協和音が鳴り続けるのでうるさいです 笑

バックチェックのワイヤーを手で前後に曲げることで調整します。

狭いときはワイヤーを手前へ、広いときは奥へ曲げます。

 

ハンマーストップが広すぎたり狭すぎたりすると、連打性能の低下、二度打ち、音が伸びないといったトラブルを招きます。

また、この工程は先に鍵盤あがき(鍵盤の深さ調整)を確認しておく必要があります(沈む深さによってハンマーストップの位置が変化してしまいます)

逆に、鍵盤あがきを大幅に修正したら、ハンマーストップも同様に直さなくてはなりません。

整調において、完全に独立した工程はないと言っていいと思います。ピアノを最良のコンディションに引き上げるには、複雑なアクションの関係をしっかり理解することが大切です。日々勉強です♪

ではまた次回👋